統一テーマについて
統一テーマは、「グローバル経営組織のイノベーション」です。研究発表は第7回大会と同様、統一テーマに関するものと自由論題による発表の2つのタイプから構成されます(詳細は「3.発表形態」を参照)。発表内容は、「戦略経営」、「経営組織のイノベーション」に関するものであれば、どのような研究でも可能です。統一テーマの趣旨は下記の通りですが、自由論題を設けることからもご理解いただけますように、研究発表の内容に制約を課すものではありません。
統一テーマの趣旨は、先進国と新興国を国際市場システムに組み込む今日的なグローバル化に対する、企業の戦略経営的対応を経営組織の面から研究する点にあります
今日的なグローバル化の深化に伴って、国際市場では、環境問題、資源問題、貧困・格差問題、ダイバーシティ(=文化・人種・性などの多様性)への企業的対応がますます要請されるようになる一方、たとえば日本の国内市場では、技術や雇用の空洞化、地域経済の活性化などが企業経営の基盤的条件に係る課題となっております。これらの課題は企業にとって、低価格化と品質による差異化を同時に追求し得る経営システムの構築、グローバル・プレゼンスの強化など、競争優位の獲得・維持の課題と並ぶ戦略経営の課題になっています。この今日的な戦略経営の課題は、既存の経営組織やビジネスモデルによっては必ずしも対応できるものではなく、そのイノベーションを要するものであります。
情報通信技術(ICT)や輸送・交通網の発展に伴うグローバルな市場統合によって、先進国の同時不況が生じるようになっております。一方、アジアNIEs、ASEAN、BRICs、中南米、アフリカ大陸などの地域経済および新興国の市場の成長・活性化が注目されております。先進国企業にとって、新興国への進出は競争力の獲得・維持のための重要な条件になっていますが、その進出は(環境問題、資源問題、貧困・格差問題への対応を含む)新たなグローバル戦略、および経営資源の開発と展開を要請します。ビジネスを国際化する際の本国内の優位性の移転可能性は、常に国際経営論の焦点になってきましたが、新興国市場では、市場や社会の違いから、先進国企業の既存の組織文化(・価値論)では通用しないともいえます。
新興国市場に参入する先進国企業は、進出先国の拠点と本国内の拠点との関係のマネジメント、本国内での競争力の維持・強化が要請されます。日本企業のグローバル経営組織は中央集権的あるいは本国志向型であり、そのことがグローバル競争の中で競争力の低下の大きな原因になっているとしばしば議論されます。先進国だけでなく、経済成長と市場の変化のスピードが速い新興国をもシステム内に含めるグローバル経営組織の構築は、ビジネス・ネットワークの再編成、ダイバーシティを前提とする新たな次元のコンフリクトのマネジメント、リーダーシップのあり方が課題となります。
また、先進国内、特に日本では、事業拠点の新興国へのシフトに伴う空洞化や地域経済の疲弊が生じております。新興国市場への参入は、本国内の競争力と両立してこそ、経営的にも社会的に正当化されるものであって、この問題が解決されない限り、日本の産業・企業の競争力の獲得は一時的には可能であっても、持続不可能でしょう。この点について、大規模企業のグローバル戦略だけでなく、国内の中小企業の連携・ネットワーク化が注目されるところであります。
以上のような、新興国への進出に伴う、新たなグローバル経営組織の構築という課題への
対応、および本国内の技術や雇用の空洞化、地域経済の活性化といった先進国企業の基盤的条件に係る課題への対応は、本学会の中心テーマである戦略経営が要請される経営課題であります。
そこで第8回大会では、「グローバル経営組織のイノベーション」について、「戦略経営」「組織開発」「組織文化」「コンフリクト・交渉」「リーダーシップ」「サプライチェーン・マネジメント」「空洞化および地域経済の活性化」「中小企業の連携・ネットワーク化」といった視点から、分析方法や具体的解決策を提案し、日本の経済・産業・企業の競争力の再生に貢献することを目的とします。
以上の統一テーマの目的を実現するための具体的な課題として、たとえば以下のようなものが考えられます。
- 先進国市場と新興国市場の両方において競争力を獲得・維持するための戦略経営と経営組織はどのようなものなのか
- グローバル化とローカル化を同時に追求し得る戦略経営と経営組織はどのようなものなのか
- 中小企業はグローバル化に対してどのような戦略的対応を行っているか、またはどのような対応が可能なのか
会員の皆様の積極的なご発表・ご参加をお願い致します。
募集要領
1)報告資格
当学会員であること
2)報告スタイル(予定)
・自由論題
報告25分、その後の質疑応答15分
・院生セッション
報告25分、その後の質疑応答15分
・英語セッション
報告25分、その後の質疑応答15分
すべて英語で実施されます。
3)申込み方法:
申込み方法:申し込みはすべて、今後開設される学会ホームページ大会サイトからお申し込みいただきます。
学会ホームページ大会サイトは6月上旬開設予定です。
4)報告要旨集用原稿の言語:英語での発表の場合は英文、日本語での発表の場合は和文。
5)報告要旨集用原稿(日本語の場合)もしくはManuscript(英語の場合)のご提出も学会ホームページ大会サイトの申し込みから原稿を添付していただき、ご報告をお願いします。
尚、日本語の場合は「報告要旨用原稿」作成要領に、英語の場合は“Manuscript Guidelines”にそれぞれ準拠したものを作成願います。また、報告要旨集用原稿(日本語)、Manuscript(英語)のいずれについてもサンプルを用意しました。それをテンプレートとして上書きすれば、ほぼ規定に準拠した原稿を作成できますので、できるだけご利用ください。
6)申込み期限:2015年6月30日(火)必着
(留意点)
本年度も、発表申し込み時に「報告要旨」も提出して頂くことになりましたのでご注意ください。第6回大会までは、まず「発表申し込み」を行い、採択の決定後に(報告要旨集用の)「報告要旨」を提出する方式でしたが、報告要旨が提出されず、報告要旨集のその部分が白紙という事態が生じたこともあり、発表申し込み時に「報告要旨」も提出して頂いております。
(規定通りに作成された「報告要旨」を伴わない申し込みは受け付けられません。)
7)作成要領/guideline に準拠していない原稿に対しては、修正再提出をお願いします
が、お願いのメール受領後、1週間以内に作成規定に準拠した原稿が再提出されない場合には、申し込みを受け付けません。(なお不受理となっても、再募集が行われることになった場合には、再応募可能です。)