国際戦略経営研究学会

会長挨拶


 2015年10月より会長職をお引き受けすることになりました。この場をお借りして、歴代の会長がこれまでに築いた確固たる基礎の上に、これからの2年間に本学会が、何を目指し、そのために何をすべきであるか、私の大まかな所信を述べさせていただきます。
 私は、本学会のさまざまな活動に通底する特長は、(1)研究者と実務家の交流を意図した学会員構成を持ちつつ、(2)国際的な戦略経営研究を強く志向しているという点にあると考えています。そのため、現実の社会経済とそこにおける企業戦略のグローバル化の動向に焦点があてられることになります。今日の社会経済の動向と企業戦略の動向が引き起こす環境変化を見るとき、もっとも重要なキーワードは、(1)グローバル化とそれが引き起こした新興国経済の成長、(2)IoTやインダストリー4.0によって代表されるようなICTテクノロジーの一層の進化による企業環境の変化であることは言うまでもありません。前者の環境変化は、もはや日本企業にとって競合が、欧米の先進国企業のみならず、韓国、台湾、中国を始めとする東アジアの企業と、新興国において急成長している企業であることを示しています。そしてそれは日本企業にとって主たる競争の場が、中国を代表とする東アジア、そしてASEAN、インドなどの新興国市場であることを意味しています。また、IoTやインダストリー4.0の動向は、ビッグデータ解析に基づいて新たにビジネスモデルを変容させていく必要があることを意味しています。この変動の時代に日本企業はどのような戦略を打ち立て、どのように競合に対抗していったらよいのでしょうか。私はここに本学会が実務家とともに研究の成果を示す場があると思います。
 本学会では、この課題にこたえるために、研究者と実務家の交流の場の提供を基本理念としながら、さまざまな活動を積み重ねています。具体的には、総務企画委員会の調整のもとに、(1)年に一度の全国大会、(2)英文の学会誌と和文の電子ジャーナルの刊行、(3)主要な領域の研究部会の設置と研究会の開催、そして(4)国際的な学術交流の試みです。なかでも全国大会では、継続して欧米から招聘した研究者を中心とする英語による統一論題セッション、各分科会における英語によるセッションが設置されています。また、学会の発足以来一貫して英文での学会誌を刊行していることは他に類を見ない本学会の特長であり、今後さらに強化していくべきものです。
 本学会はまた来年度には設立10周年を迎えます。私が会長職をお引き受けした今年度と来年度の本学会の活動においては、その次の10年間の発展の基盤を築くために、これまで以上にグローバル化を意識した国際的な戦略経営研究、インダストリアル・インターネットの時代にふさわしい知見をもつ実務家とのさらなる交流を目指していきたいと考えています。

国際戦略経営研究学会 会長
丹沢安治

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