国際戦略経営研究学会

会長挨拶


このたび,第10回年次総会およびその後の理事会において会長に選出されました。2017年10月より2年間会長を務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

国際戦略経営研究学会が設立されたのは2008年1月です。日本はバブル経済崩壊以降の「失われた15年」を打破できず,またサブプライムローン危機が顕在化してきた時期です。企業経営の最前線で戦略的な舵取りが一層求められていたこのとき,「戦略経営」という経営学研究のフロンティアを開拓することを目的とし,学会は創設されました。そして,この10年,学会は研究発表大会・研究会による研究活動・研究交流や,英文ジャーナル・電子ジャーナル発行による研究成果発信を進めてきました。2017年9月には 「IoTとインダストリー4.0が引き起こす新たなビジネスモデル」を統一論題とした10周年記念大会を開催することができました。

しかし,この10年間,日本のビジネス環境,経済は多くの試練に対峙せざるを得ませんでした。サブプライムローン危機が発端となり,経済不況の世界的連鎖が起こり,日本でも株価の暴落や,実質GDP成長率がマイナスに落ち込むといった状況となりました。さらに,2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故が大きな打撃となりました。政府の成長戦略,日銀の金融緩和等により,デフレ脱却の兆しもうかがえますが,必ずしも景況実感につながってはいません。そして,このような状況の中で,シャープの経営危機,東芝の会計不正,神戸製鋼所の品質データ改ざん等日本を代表する企業が次々と経営危機に直面しています。このような経営危機や不祥事は,コーポレートガバナンス,内部統制の重要性を認識する機会となりましたが,その根源的原因として良い経営戦略を創造し,それを適切に実行するという「戦略経営」の不在に目を向ける必要があります。また,現在,IoT・ビッグデータ・AI(人工知能)といった技術シーズの開花により,新たな光も見え始めてきました。このような時期,改めて「戦略経営」の重要性が高まっているのではないでしょうか。

「戦略経営」は,環境変化への適応や先取りのために適切な経営戦略を選択するだけでなく,諸機能・諸資源を戦略整合させ,統合的に展開する経営ととらえられます。そのため,2つの「際」をつなぐことを重要方針とし学会を推進していきたいと考えています。一つの「際」は,学際です。「戦略経営」のためには,経営に関する多様な専門領域の研究者に研究交流していただき,戦略的整合の観点から学際的,統合的にアプローチしていく必要があります。二つ目の「際」は,国際です。グローバル経営を研究対象とするとともに,研究成果の海外への発信,海外研究者との研究交流を推進することが重要です。このような観点から,多様な専門領域のそれぞれの知,学術と実践の双方の知,国内と海外の双方の知を連携し,新たな知を創造していける学会を目指したいと考えています。

以上の認識,方針のもと,次の10年をスタートさせ,「戦略経営」を研究的にも実践的にも進化させることに寄与していく所存です。今後も引き続きみなさま方のご参画,ご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

国際戦略経営研究学会 会長
歌代 豊

Copyright The International Academy of Strategic Management. All rights reserved.